ジェイル:「安い……」
質屋:「んー、文句あるなら。他の所を回って見てよ。ここより高く買い取る店があるならさ。ああ、アンタの背と腰の刀なら金貨六十枚は出してもいいね!(心の声:私の鑑定眼はその百倍の値段でもいけるとみた!)」
ジェイル:「悪いな。それでは相場の百分の一だ……それに売り物じゃない」
質屋:「あっそう。──ん、ちょっと待った。あんた、もしかしてジェイル・マーシェル?」
ジェイル:「そうだが……」
質屋:「頼む。アンタのサイン色紙十枚なら金貨五枚、いや十枚で買い取らせてくれ。色紙代は私が持つから!」
ジェイル:「……世の中には物好きが多い。別に構わないが──」
質屋:「へへ、ありがとうございます(あんたは、知らないかも知れないけど、あんたのサインを欲しがる連中は幾らでも要るんだよ。色紙十枚で金貨六十枚は硬いな)」
ジェイル:「そうだな……金貨六十枚でなら引き受けてもいい」
質屋:「なっ!(こ、こいつ相場を知ってるのか?)」
ジェイル:「相場はその位……何だろう?」
質屋:「く、分かりました。金貨六十枚お出ししましょう。色紙にサインを御願い致します……(くっそぉ暴力馬鹿の分際で足元見おって! まぁ、いい。その分、精々あんたで宣伝させて貰うよ)」
ジェイル:「完了だ……」
質屋:「あ、あ、ありがとうございました(もう、来るな!)」
ジェイル:「暴力馬鹿で悪かったな。安心しろ。もう来ない……」
質屋:「へっ?(う、嘘だろぉぉぉぉ)」