ジェイル:「抜けば……死ぬぞ?」
盗賊頭:「ぐ、うぐぐ。な、何で俺たち如きにアンタが動くんだ!」
ジェイル:「依頼人に聞いてくれ」
盗賊頭:「分かった。降参だ。た、頼むから殺さないでくれ──俺には、十の息子を頭に三人の子供と妻が居る。……罪を見逃せと言っている訳じゃない俺は、俺は──」
ジェイル:「落ち着け。──無闇な殺生はしない」
盗賊頭:「……す、すまない。見た所、俺の部下も全員生きてるみてぇだし……アンタ、噂ほど残忍って訳じゃないようだな? 恩に着るよ……」
ジェイル:「ふん」
盗賊頭:「手間を取らせた。──しかし、まさか『魔族殺し』とまで言われたアンタが動くなんて。俺アンタのファンでさ、息子達もアンタに憧れてる。頼めた義理じゃねぇけどよ……その、サインを貰えないか? 金なら真っ当に働いて支払うから、この通りだ! 頼む!」
ジェイル:「ふん、物好きめ。俺に断る理由が無い──金はアンタを引き渡した金で充分だ」
盗賊頭:「はは、そりゃいいや。──息子達も喜ぶ。恩に着る……」